「ざんぎり頭を叩いてみれば、文明開化の音がする!」
歌をうたいながら、夜のれんが街。
袴はすきっぷするのには少々つらいわ。
嗚呼、ほんとうによかった。
異国人のお方とお友達になれるなんて、夢にも思わなかった!
きれいな洋館、お洋服、おいしい紅茶…てぃ、と言ったかしら。
とっても美味しかった。素敵な方だった。
明治時代、文明開化。
ガス灯がぽわんと照りつける橋を渡り終えると、うふふと哂う。
跳んで、足に地面を着けるとその前に黒猫が通り過ぎた。
「ひゃっ」と叫び声を上げる。
どきどきと鼓動をする心臓を落ち着かせながら、顔を見上げると―――――
「ちょいとそこのお嬢さん、おひとつお噺を聞いていきませんか」
小さな店の前に、男がいた。
金髪、碧い瞳、整ったお顔。
妖艶に口角を上げるくちびる、長いまつげ。
こころを奪う、魅力の悪魔。ふと一瞬だけそう思った。
「あら、何のお噺かしら」
「ええ、異国のお方に聞いた、異国のお話ですよ」
「あなたもじゃないの?聞いてみたいわ。面白そうね」
「立ち話も何ですので、ここらに」
「有難う」
袴をひらりと舞わせると、洋風の椅子に座る。
ふかふかと羽の詰まった羽毛枕のような感触。
「愉快、痛快、殺意に身を焦がしたとある家族のお噺をしましょう
たしか…”ぐりむ”童話と云ったかな」
それは―――――――――――
男が語り出す。
「…どうです、面白かったでしょう?短かったけれど。」
「…ええ、とても。私の半生に似た…」
「おや、不快な気分にさせてしまいましたか?」
「いいえ」
少女は云う。虚ろなひとみ。
口角を釣り上げている。
男は一言云う。
「もうすぐ、パレヱドですねぇ。楽しい、楽しい、愉快、痛快」
ガス灯の明かりを見つめたまま、男は立ち上がる。
黒猫をあやし、「では」と軽く会釈しガス灯も照らせない闇へときえていった。
少女は喉を掻き切っていた。
ざくざく、がりがり、ぐちゃ、
こういうのが書いてみたかったんです…
お粗末さまでした!
またイメイラ描きます。そのうちまた続編も書くかと…
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